豊島区の民泊規制で既存物件はどうなる?年120日制限のポイントと物件の活用法

夕暮れの都市部の住宅密集地のイラスト。一室だけ明かりが灯っている

公開日2026年10月19日

豊島区で民泊を運営している方にとって、2026年12月16日は大きな区切りになります。この日から、すでに届出をしている既存の施設にも、年間120日という営業期間の制限が適用されます。

条例そのものは2025年12月15日に施行済みですが、既存施設には1年間の猶予が設けられていました。その猶予が終わるのが2026年12月16日です。この記事では、区が公表している資料をもとに改正の中身を整理し、残りの期間に物件をどう使うかを考えます。

本記事は公開時点の公表資料をもとに作成しています。最新の内容・個別の物件の扱いは各自治体等にご確認ください。

豊島区以外の自治体や国の方針も含めた全体像は、【2026年版】民泊規制まとめで整理しています。

豊島区の民泊条例改正の要点

改正されたのは「豊島区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」です。2025年の第4回区議会定例会で全会一致により可決されました。区の資料によると、改正のポイントは次の4つです。

項目内容
区域の制限区内約70%のエリア(住居専用地域、住居地域、準工業地域、文教地区)で、新設の施設はすべての期間で営業を制限
期間の制限区内全域で、営業できる期間を年間120日間(春休み・夏休み・冬休み)に制限
罰則区域と期間の制限に違反した者に5万円以下の過料
監督の強化指導、勧告、公表の規定を追加

このうち、既存の施設に直接関わるのが期間の制限です。区域の制限は新設の施設が対象ですが、期間の制限は区内全域が対象で、既存施設にも適用されます。

既存施設には2026年12月16日から適用される

区の資料には、期間の制限について「既存施設にも適用」「令和8年12月16日より適用」と明記されています。すでに届出をして営業している施設も、この日からは年間120日の枠の中でしか営業できません。

住宅宿泊事業法が定める上限は年間180日ですが、豊島区ではそれがさらに120日まで絞られる形です。しかも、120日を自由に選べるわけではありません。営業できるのは春休み・夏休み・冬休みの期間に限られます。

収益への影響を考える

年間を通して稼働させていた施設の場合、営業できる日数が3分の2ほどに減るだけでなく、営業できる時期が決まってしまう点が効いてきます。学校の長期休暇に合わせた期間であるため、家族連れの需要とは重なりますが、平日のビジネス利用や、閑散期を埋めるような使い方はできなくなります。

残る期間の方が長いという事実を、どう受け止めるか。それがこの改正に向き合ううえでの出発点になります。

一部屋旅館への「鞍替え」も、簡単な道ではない

民泊の日数制限を避ける方法として、旅館業の許可を取る道があります。実際、豊島区の記者会見資料にも「民泊から一部屋旅館へ『鞍替え』する事業者が増えるのではないかという不安の声」という記述があり、区がこの動きを認識していることがわかります。

区は条例改正等の検討会を継続して開催し、区内民泊の運営状況や実態の把握とあわせて、一部屋旅館の実態把握を進めるとしています。課題があれば必要な対策を検討するとも記されており、今後の動きを見ておく必要があります。

旅館業側の規制強化は、他の自治体でも進んでいます。大阪市は2026年10月30日施行の条例改正で、宿泊者が施設を使用している間の従業者の常駐を義務づけました。葛飾区も2026年4月から、旅館業の施設に従事者の常駐と1日1回以上の巡回を求めています。旅館業への切り替えが、以前ほど確実な選択肢ではなくなりつつあることは押さえておきたいところです。

手続きも厳しくなっている

営業期間だけでなく、届出の手続きも変わりました。区の資料では、条例と規則で次のような項目が規定されています。

  • 事前説明会の実施
  • 海外在住事業者に対する、日本国内在住の代理人の選定
  • 町会加入の協議の実施
  • トラブル発生時、区民の要請に応じた話し合いの場の設定
  • 消防関係の届出書類の写し、事業系ごみの契約書の写しなどの提出

これらは新規の届出を想定した内容ですが、区が民泊の運営をどう見ているかがよく表れています。背景にあるのは、夜間の騒音、ごみ、無人運営といった近隣からの苦情です。

残りの期間を、どう使うか

年間120日の制限を前提にすると、考え方は2つに分かれます。

選択肢A:民泊をやめて、別の用途に切り替える

売却、通常の賃貸への切り替え、宿泊を伴わない用途への転用などが考えられます。民泊向けに設備を入れている場合、その投資をどう扱うかが判断の分かれ目になります。

選択肢B:民泊と別用途を併用する

営業できる春・夏・冬休みは民泊として使い、それ以外の期間は別の用途に充てるという考え方です。建物をひとつの用途に固定せず、時期で使い分ける発想になります。

ただし、ひとつの建物を複数の用途に使う場合、用途地域や建築基準法上の扱い、賃貸借契約や管理規約の内容を個別に確認する必要があります。「併用できる」と一般論で言えるものではありません。

宿泊を伴わない使い方という選択肢

私たちは、空き家を舞台にした謎解きゲームを運営しています。一軒の家をまるごと使い、参加者が家じゅうを探索しながら謎を解く体験型のゲームです。宿泊は伴わず、営業は土日祝の日中が中心で1日4公演、運営中はスタッフが現地にいます。

豊島区の条例改正で問題にされているのは、夜間の騒音、ごみ、無人運営といった点でした。宿泊を伴わない日中営業で、スタッフが常駐する形であれば、これらの論点とは性質が異なります。

とはいえ、住宅を有料の体験施設として使う場合の扱いは、用途地域や建物の条件によって物件ごとに確認が必要です。一律に「問題ない」と言えるものではありませんので、この点は当社が個別に確認します。

物件探し・ゲーム制作・集客の仕組みは本部が担い、加盟者の皆さまには運営を担当していただく形です。民泊として使っていた物件の次の使い道をお考えでしたら、一度ご相談ください。

出典

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